日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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マングローブ培養細胞におけるNa+レベルの調節機構について
*田中 喜之中村 敦子福田 篤徳小関 良宏山田 晃世三村 徹郎
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p. 248

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抄録
 熱帯・亜熱帯の汽水域に分布するマングローブと総称される樹木は、高塩濃度環境においても生育し子孫を残し、耐塩性の研究に適している。マングローブの一種Bruguiera sexangulaの懸濁培養細胞において低濃度(50 mM) NaCl処理では、低濃度のNa+を蓄積する。一方、高濃度(150 mM) NaClにより処理すると細胞内Na+は24時間をピークに一過性に上昇し以後もとのレベルにまで減少した。このNa+レベルの調節機構を解析するために細胞膜型Na+/H+アンチポーター(BsNHE)および液胞膜型Na+/H+アンチポーター遺伝子(BsNHX)をクローニングし、その性質と発現制御を明らかにした。B.sexangula培養細胞よりcDNAライブラリーを作製した。シロイヌナズナの細胞膜型Na+/H+アンチポーターであるAtSOS1遺伝子の情報をもとにプライマーを作製しライブラリーを鋳型にPCRを行い、SOS1遺伝子とホモロジーが高い断片を得た。これをプローブに3792塩基対よりなり、1153アミノ酸残基のタンパク質をコードする翻訳領域を有するクローン(BsNHE1)を得た。推定アミノ酸配列では、12回膜貫通領域を持つ膜タンパクでありNHEの特徴であるC末端側に長い親水性領域を有していた。AtSOS1アミノ酸配列と65%のホモロジーを示した。同様にBsNHX遺伝子を2クローン(BsNHX1,BsNHX2)取得した。推定アミノ酸配列では、12回膜貫通領域を持つ膜タンパク質をコードし、アミノ酸配列を比較するとAtNHX1-4とは60-80%のホモロジーを示した。
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© 2003 日本植物生理学会
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