抄録
植物の細胞膜と液胞膜には水チャネルが存在し、植物体内の水輸送、細胞生長や水ストレスへの応答を理解する上で重要な要素と考えられる。ダイコン(Raphanus sativus)の細胞膜 水チャネル(RsPIP1-1, 1-2, 1-3, 2-1, 2-2, 2-3)と液胞膜水チャネル (RsTIP1-1, 2-1)は、これまでの解析からRsPIP1とRsTIPは構成的な水チャネルであり、RsPIP2-1は生育段階、器官特異的な性質を持ち、ストレスやホルモンに対する応答性を示す水チャネルであることを明らかにしている。そこで、細胞膜、液胞膜水チャネル各分子種別の水チャネル活性測定を試みた。酵母BJ5459株に各分子種を発現させ、ストップトフロー光散乱法によって活性測定を行った。RsPIP2タイプとRsTIPタイプはともにベクターのみを発現させたコントロールよりもシグナル減少し水チャネル活性を示した。これに対しRsPIP1タイプはイムノブロット解析よりタンパク質の蓄積を確認したが、活性は検出できなかった。つまり、RsPIP1-1, 1-2, 1-3は水チャネル活性を持たない、あるいは低い可能性を示唆している。これらの結果から、水チャネルの分子多様性と機能について考察したい。