抄録
(目的)空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolor cv. Heavenly blue)は開花に伴い表層の着色細胞の液胞pHが6.6から7.7に上昇して色が赤から青へと変化する。我々はこのpH上昇機構の解明を目的に研究を行っている。これまでにツボミ及び開花花弁より着色細胞の液胞膜を単離し、プロトン輸送活性の季節変動を報告した[1]。今回はこの膜のNa+/H+対向輸送活性[2]も同時に調べた。
(方法、結果)昨年と同様にツボミと花より液胞膜を調製した。開花数の最盛期と気温が低下し花数の減少した時期、および後者については開花不十分な紫~青紫色の花弁からも試料を調製した。プロトン輸送活性は昨年同様ツボミより花で高く、ピロリン酸依存性の活性の方がATP依存性の活性よりも高かった。しかし活性の季節による変動は認められなかった。半開き花弁の活性は開花花弁の活性とほぼ同値であった。現在、この膜のNa+/H+対向輸送活性測定を目指し、実験を進めている。
[1]森美穂子ほか、日本植物生理学会2002年度年会、pp.150.
[2]Yamaguchi, T. et al., (2001) Plant Cell Physiol. 42: 451-461.