日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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カサノリ V-PPase の酵母での発現並びに機能解析
*池田 己喜子馬見 公子日野原 美里中西 洋一前島 正義
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p. 251

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抄録
 カサノリは、緑藻類に属し、巨大な単細胞から成る海棲の生物体である。我々は、このカサノリの液胞膜にも、高等植物と同様に二つのプロトンポンプ、V-ATPase 及び V-PPase が存在することを生化学的並びに遺伝子レベルで明らかにしてきた。
 V-PPase の推定される一次構造は 721 あるいは 751 アミノ酸であった。今回、V-PPase の酵母での発現を進め、特に VMA3 欠損株を用いた機能解析及び機能領域の解析を進め、下記に述べる結果を得た。
1) 酵母 BJ5459 株での発現の結果、カサノリ V-PPase 遺伝子が 751 アミノ酸をコードすることを明らかにした。
2) 酵母 VMA3 欠損株での発現の結果、カサノリ V-PPase が酵母液胞膜に組み込まれプロトンポンプとして機能することを、液胞の酸性化の指標となる ade 蛍光色素の液胞への蓄積を蛍光顕微鏡で観察することで実証した。
3) 2) の系を用いて V-PPase の DCCD 結合部位の解析を進めてる。現在までのところ、カボチャ V-PPase で報告された C 末端近辺の Glu-749(シロイヌナズナでは Glu-751)はプロトンポンプ機能に影響しないという結果を得ている。
 現在、2) のシステムを用い、シロイヌナズナ V-PPase で報告されている Glu-427(最も可能性の高い DCCD 結合部位)への点変異導入を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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