日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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PHAシンターゼを導入した形質転換植物が合成するPHAを指標とした代謝の解析
*新井 祐子仲下 英雄真野 昌二近藤 真紀田口 一徳西村 幹夫土肥 義治
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p. 253

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抄録
 ポリ-3-ヒドロキシアルカン酸(PHA)は微生物により合成される生分解性共重合ポリエステルである。PHAは植物に内在する酵素では分解されず、蓄積する性質を有している。この性質を利用して、形質転換植物ではPHA合成の基質である(R)-3-ヒドロキシアシル-CoA((R)-3HA-CoA)の供給に関与する代謝系についての解析が可能である。本研究では、植物細胞の各オルガネラにおける脂肪酸代謝を代謝中間体レベルで解析することを目的とし、PHAシンターゼ(PhaC)をアラビドプシスのペルオキシソーム及びミトコンドリアに導入した形質転換植物を作出した。
 短鎖(炭素数4-6)の(R)-3HA-CoA又は短鎖-中鎖(炭素数4-12)の(R)-3HA-CoAを基質として認識する2種のPHAシンターゼ遺伝子(phaC)にそれぞれ各オルガネラへの移行シグナルを付加して、アグロバクテリウム法により導入した。RT-PCR法により解析によりphaCの発現が確認され、抗PhaC抗体を用いたウエスタンブロット法により葉の粗タンパク質画分にPHAシンターゼの存在が確認された。また、葉の粗タンパク質画分からPHAシンターゼ活性を検出した。現在、これらの形質転換体の合成したPHAの合成量及び組成について解析を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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