日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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根特異的に発現するプロモーターの開発
*小山 貴芳小埜 俊郎水野 梨絵光川 典宏河津 哲木村 哲哉粟冠 和郎大宮 邦雄
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p. 260

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抄録
 我々は、植物遺伝子組換え技術を応用したファイトレメディエーションに関する研究を行っている。これまでの研究では、土壌中の環境ホルモンを分解する目的で、リグニン分解酵素の一種であるラッカーゼを植物で発現させることを試みた。その際、ラッカーゼ遺伝子をCaMV35Sプロモーターの下流に連結させてイネに導入して発現させたところ、顕著な生育傷害がみられた。そこで本研究では、植物遺伝子組換え技術を応用した土壌中の有害物質分解を合目的的に効率よく行うため、根で特異的に発現するプロモーターの開発を行った。
 開発には、シロイヌナズナ由来リン酸トランスポーター遺伝子(PHT1)のプロモーターを用いた。PHT1プロモーターの下流にレポーター遺伝子GUSを連結したPHT1::GUS融合遺伝子をシロイヌナズナとイネに導入し、PHT1プロモーターの発現を調べた。その結果、シロイヌナズナ、イネともに根で強いGUS活性が検出され、リン酸濃度に対する負の応答を示した。根以外の器官でのGUS活性は低かった。
 双子葉植物由来のPHT1プロモーターが単子葉植物であるイネにおいても機能することから、同プロモーターは植物が共通に持っている発現機構によって制御されていることが示唆された。このことから、現在は実用植物であるユーカリとポプラでPHT1プロモーターが機能するかを解析している。
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© 2003 日本植物生理学会
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