抄録
セリンアセチル転移酵素 (SATase) は、システイン生合成の重要な中間体であるO-アセチルセリン (OAS) を生成する酵素である。シロイヌナズナゲノムには5つのSATaseアイソザイム遺伝子が存在しているが、細胞質局在性のSAT-cはその活性がシステインによりフィードバック阻害を受けることからOASを介した硫黄同化系の制御に重要な役割を果たしていると考えられる。そこでSAT-cの硫黄同化系における機能を明らかにするために、T-DNA挿入変異体のスクリーニングを行い、SAT-c遺伝子にT-DNAが挿入された植物を1系統(KOC)単離し、解析を行った。
OAS、システイン、グルタチオン含量を測定した結果、野生型シロイヌナズナと比較してKOCではシステイン含量が約50%に減少していたが、OAS、グルタチオン含量は変化しなかった。現在DNAアレイ実験、およびFT-MSによる代謝物の包括的解析を行いSAT-c遺伝子が破壊されたことによる影響を解析中である。