日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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植物アシルアミノ酸遊離酵素の同定と生化学的解析
*豊田 泰之山内 靖雄田中 浄
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p. 294

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抄録
 アシルアミノ酸遊離酵素(Acylamino acid releasing enzyme,AARE) はN末端がアシル化されたペプチドからアシル化アミノ酸を遊離するエキソペプチダーゼであるが、最近、AARE が酸化や還元糖による化学修飾を受けたタンパク質を分解する機能を持つエンドペプチダーゼでもあることが動物で明らかにされた。今回、植物における AARE の生理機能を明らかにすることを目的に、遺伝子の単離と生化学的性質の解析を行った。アラビドプシスのゲノムに見い出された動物 AARE とホモロジーの高い遺伝子をRT-PCR によりクローニングした。コードされた694個のアミノ酸からなるタンパク質は動物 AARE と28%の相同性があり、大腸菌で発現させた組換え AARE は、アラビドプシスとキュウリから精製したネイティブな AARE とほぼ同じエキソペプチダーゼとしての酵素学的性質を示した。さらに、精製キュウリ AARE はネイティブ ribulose-1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase (Rubisco) は分解せず、グルコースによりグリケーション修飾された Rubisco のみを分解した。これらの結果から、植物に存在する AARE も、N末端がアシル化されたペプチドからアシル化アミノ酸を遊離する機能だけではなく、化学修飾を受けたタンパク質の除去にも機能していることが考えられた。
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© 2003 日本植物生理学会
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