日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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クラミドモナスの第3のマトリックスメタロプロテアーゼ、Mmp3の構造と機能解析
*中西 宏幸久保 雄昭常田 知里齊藤 達昭松田 吉弘
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p. 296

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抄録
 クラミドモナスには2種類のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、Mmp1とMmp2が知られている。Mmp1はガミートライシン(Matsuda 1998)として接合時の配偶子細胞壁溶解に機能し、Mmp2はその遺伝子発現時期からみて接合子形成後に機能すると推定される(Kuboら2001)。本研究では、クラミドモナスESTライブラリーの検索によって見出された第3のMMP、Mmp3の遺伝子構造とその転写発現を解析し、さらに特異抗体を用いた蛋白質レベルでの発現解析を行った。
 Mmp3 cDNAのORFは646アミノ酸をコードし、Mmp1Mmp2との相同性は70%と59%であった。そのアミノ酸配列は、プレプロ領域をもち、先の2つのMMPsと同様に、メトジンシングループに属する亜鉛結合モチーフをもっていた。サザン解析からMmp3遺伝子は、1コピーで、タンデムに配列しているMmp1-Mmp2とは別の遺伝子座に位置することが分かった。ノザン解析からMmp3は、栄養細胞において特異発現し、細胞周期のG1期に転写が増大した。
 Mmp3の推定マチュアポリペプチド領域のN末およびC末付近のペプチド配列をもとに2種類の抗体を作製した。両者は65 kDa蛋白質を共通認識した。この蛋白質は、細胞周期のG1中、後期において顕著に発現した。以上の結果より、Mmp3は細胞の伸長成長時の細胞壁溶解に関与している可能性が示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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