日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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O-アセチルセリン(チオール)リアーゼによる蛍光ペプチドの分解
*佐藤 慎史天野 豊己塩井 祐三
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p. 295

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抄録
ホウレンソウの葉緑体ストロマからClpプロテアーゼの精製する過程で,我々はClpの基質である蛍光ペプチド,Suc-Leu-Tyr-MCAの分解活性を持つ別の酵素の存在を発見した.本講演ではその酵素の精製と性質について報告する.この蛍光ペプチドを分解する酵素は,通常のカラムクロマトグラフィーにより精製され,SDS-PAGEより求められた分子量は35,000であった.このタンパクのN末端配列をペプチドシーケンサーで解析したところ,ホウレンソウ由来のO-アセチルセリン(チオール)リアーゼ(OASリアーゼ)のN末端配列(AVSLSPP)と完全に一致していた.OASリアーゼは,システイン生合成の最終段階で,O-アセチルセリンと硫化水素からシステインと酢酸の生成反応を触媒する酵素である.この酵素にはいくつかのアイソザイムが存在し,それらは葉緑体,細胞質,ミトコンドリアに分布していること,また,OASリアーゼは補酵素としてピリドキサールリン酸を持つため,407 nm付近に吸収があることが知られている.我々の精製したタンパクにも407 nmに吸収が見られた.これらのことから,Suc-Leu-Tyr-MCAを基質として精製されたタンパクは,OASリアーゼである可能性が極めて高い.現在,反応速度論的に本酵素の反応機構について解析を進めている.
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© 2003 日本植物生理学会
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