日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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プラスチド包膜上のタンパク質輸送装置変異体を用いた本葉分化の解析
*丹羽 康夫伊藤 信靖森安 裕二梶原 英之加藤 友彦田畑 哲之関 原明小林 正智篠崎 一雄
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p. 313

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抄録
 プラスチド内のタンパク質の9割以上が核ゲノムにコードされているため,プラスチドがその機能を発揮するためには,これらが細胞質で翻訳後,プラスチド包膜を透過する必要がある.プラスチド包膜に存在しタンパク質の輸送に関与する因子は,Toc(外包膜),Tic(内包膜)と命名され,これまで主にエンドウを材料とした生化学的手法により解析されてきた.Tic40因子に相当するシロイヌナズナ遺伝子はハプロイドゲノムあたり1コピーで存在し,GFPを用いた局在解析の結果,プラスチド包膜上に局在することが明らかになった. atTic40遺伝子にT-DNAの挿入を持つ変異体では,葉緑体を含む組織すべてにおいて緑化が抑制されていた.そこで変異体における葉緑体色素含量を測定した結果,予想通り調べた全ての色素が野生型のものと比較して減少していた.そこでそれらの存在比を検討した結果,野生型の存在比を保持したまま減少していることが明らかになった.さらに形態学的ならびに生化学的解析を行った結果,変異体での淡緑色の表現型は,葉緑体分化というよりはむしろ葉の細胞数の減少に起因することを示唆する結果が得られた.
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© 2003 日本植物生理学会
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