日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナ葉緑体に存在する2種類のGrpE蛋白質の機能解析
*杉本 祐香菊地 真吾小形 尚子中井 正人
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p. 315

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抄録
GrpE は蛋白質のフォールディングや膜透過に関与する分子シャペロンHsp70と協同的に働く補因子(コシャペロン)で、原核生物や真核生物のミトコンドリアにおいて広く見いだされている。原核生物やミトコンドリアのGrpE の機能は、Hsp70に結合したATP/ADP の交換反応の促進であり、Hsp70 のシャペロン機能において必須な役割を果たしていることが明らかになっている。高等植物葉緑体内にもHsp70が存在しているが、協同的に働くと予想されるコシャペロンに関しては、その存在様式やHsp70との機能の協同性などは不明である。本研究ではシロイヌナズナ葉緑体に存在する2種類のGrpE蛋白質に関して解析をおこなった。
 シロイヌナズナゲノムデータベースおよびESTデータベースには、アミノ末端に葉緑体行きのトランジット配列様の配列を有し、さらに成熟体部分が葉緑体の進化的起源と考えられるらん藻のGrpE に高い相同性を示す蛋白質をコードすると予想される遺伝子が2つ(AtcpgrpE1, AtcpgrpE2)存在している。これらの遺伝子がコードする蛋白質cpGrpE1, cpGrpE2が、実際に葉緑体ストロマに局在することを確認した。さらに2つのcpGrpEは葉緑体ストロマにおいてほぼ等量存在しており、いずれも葉緑体Hsp70と複合体を形成していることが分かった。現在、これら2つのcpGrpEのノックアウト株の解析や、Hsp70との相互作用や複合体形成様式について解析を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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