日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ルビスコ大サブユニットと会合しないルビスコ小サブユニットの解析
*嶋岡 泰世富澤 健一横田 明穂
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p. 316

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抄録
高等植物ルビスコは核ゲノムにコードされる小サブユニット(SSU)と葉緑体ゲノムにコードされる大サブユニット(LSU)が8つずつ会合したL8S8構造を採っている。ルビスコは植物の緑化中に盛んに生合成されるが、その過程で、シャペロニンのようなタンパク質の介助を受け、フォールディングや会合が起こっている。また、ルビスコは老化やストレスにより分解される。これらルビスコの生合成や分解の詳細なメカニズムについては解明されていない。ルビスコの各サブユニットは生合成過程や分解過程においては、L8S8構造をとらない状態で細胞内に存在している可能性が考えられる。これらの存在状態を明らかにすることはルビスコの生合成メカニズムや分解メカニズムを解明する上で重要である。本研究では、植物内でL8S8構造を採っていないルビスコサブユニットについて解析した。
暗所で発芽させたダイコンに光を照射すると、経時的にルビスコホロ酵素の蓄積量が増加した。このときの葉の不溶性画分には、SSUのみが蓄積していることを、ウェスタンブロティングならびに質量分析により明らかにした。また、完全展開した成葉の不溶性画分におけるSSUの蓄積量は大きく減少していた。これらの結果から、SSUはルビスコの生合成が盛んな植物では一部が不溶化していることが考えられる。現在、緑化過程に不溶性画分に蓄積するSSUの特性について解析中である。本研究の一部はMETI/RABの委託によるものである。
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© 2003 日本植物生理学会
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