日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるトランスポゾンAc/Dsを用いたアルビノ変異体の網羅的解析
*本橋 令子明賀 史純山崎 高紀伊藤 卓也黒森 崇平山 隆志関 原明小林 正智永田 典子吉田 茂男篠崎 一雄
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p. 317

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抄録
我々はトウモロコシのトランスポゾンAc/Dsを用いてシロイヌナズナの遺伝子破壊系統を多数作製して、葉緑体の形成や光合成機能に関与する遺伝子に注目し、F3世代について幼苗期の表現型を調べ、アルビノ又は葉の色素が薄くなるpale green変異体の探索を行った。染色体5番の3カ所のドナー部位と染色体1番の4カ所のドナー部位から転移させた9425ラインの遺伝子破壊系統よりアルビノ変異体87ラインを単離した。その内、トランスポゾンの挿入が原因で、アルビノの表現型を示したラインは42ラインであり、約50%のタグ効率あった。得られたアルビノ表現型には様々なタイプがあり、単純なアルビノ変異体が21ライン、pale green変異体が15ライン、双葉のみが白い変異体が4ライン、斑入りやまだらになっている変異体が3ライン単離された。データーベース上のゲノム情報により遺伝子を破壊していると考えられる変異体が40ライン、その内既知の遺伝子を破壊しているのが22ライン、残りの2ラインは広い遺伝子間領域にDsの挿入が確認され、その領域に新規のアルビノ原因遺伝子が存在することが示唆された。また、各原因遺伝子のうち、葉緑体移行シグナルをもつ遺伝子は25、ミトコンドリア移行シグナルをもつ遺伝子は6、その他が6あり、必ずしも葉緑体蛋白質が破壊されたことによりアルビノなどの表現型質を示すわけではなく、いくつかのミトコンドリア蛋白質もアルビノ原因遺伝子であることを示している。
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© 2003 日本植物生理学会
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