日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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葉緑体分裂制御因子ARC3は原核生物分裂装置と真核生物シグナル伝達因子の融合タンパク質である
*島田 裕士小泉 公人望月 麻里子冨士元 仁黒木 康太増田 建太田 啓之高宮 建一郎
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p. 319

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抄録
シロイヌナズナ葉緑体変異体 arc シリーズは、肉眼観察では野生型との違いは検出されないが、葉緑体の大きさと数が変化した変異体であり、Pykeらによって1991年に単離・報告された。しかし、原因遺伝子の同定はいずれの変異体でもなされていない。葉緑体の分裂制御機構については未だ未解明な部分も多く、本変異体の原因遺伝子の同定は制御機構の解明につながると考えられる。そこで我々はarc3の原因遺伝子の同定を行い、マッピングの結果、 ARC3遺伝子は第一染色体上に存在する事が示され、相補実験から同定した遺伝子がARC3遺伝子であることを示した。ARC3遺伝子は742アミノ酸をコードしており、N末領域がバクテリアの分裂制御因子であるFtsZとのホモロジーがあり、C末領域は真核生物でよく知られているシグナル伝達因子のphosphatidylinositol-4-phosphate 5-kinaseの一部とホモロジーがあった。ARC3遺伝子は、真核生物が原核細胞由来の葉緑体の分裂を制御するために、真核型の遺伝子と原核型の遺伝子が融合して生じたと考えられる。現在ARC3タンパク質のそれぞれのホモロジー部分の機能を調べており、その結果も併せて報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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