日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)のMpftsZ2遺伝子過剰発現による葉緑体の巨大化と成育抑制
荒木 裕子滝尾 進小野 莞爾*高野 博嘉
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p. 320

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抄録
FtsZタンパク質は原核生物の細胞質分裂面で機能する分裂リングの主要構成分子である。高等植物ではFtsZには2つのタイプが存在し、それぞれが葉緑体分裂に関与している。我々は苔類ゼニゴケから葉緑体型のftsZ遺伝子の単離を試み、MpftsZ1MpftsZ2の2つを得た。ノーザン解析は両遺伝子が転写されていることを示した。CaMV35SプロモーターにMpftsZ2遺伝子を繋いだプラスミドを構築しゼニゴケに遺伝子導入した結果、巨大葉緑体を持つ形質転換体が1個体得られた。野生株の表皮の細胞は38.2 ± 21.4個の葉緑体を持つ一方、形質転換体では7.4 ± 4.4個にまで減少していた。サザン解析は、導入したMpftsZ2遺伝子が最低3コピー導入されていることを示した。ノーザン解析は、この形質転換体ではMpftsZ2遺伝子が過剰発現していることを示した。野生株と形質転換体ではクロロフィル量に有意な違いは見られず、また通常光下でのクロロフィル蛍光分析においても有意な違いは見られなかった。しかしながら、形質転換体は野生株に比べて約1/5に成育が抑制されており、このことは巨大葉緑体を持つ細胞には何らかの障害があることを示唆している。
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© 2003 日本植物生理学会
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