日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ペルオキシソーム輸送シグナルを有する低分子量熱ショックタンパク質AtHSP15.7の解析
*狩野 和海真野 昌二西村 幹夫加藤 朗
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p. 325

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抄録
 生物は生理的温度より5~10℃高い温度にさらされると、通常の生育温度で機能して いるタンパク質の合成が停止し、熱ショックタンパク質(Heat shock protein ; HSP)を合成する。HSPのうち15~30kDaのものは低分子量HSP(sHSP)と呼ばれ、C末端側に保存領域(αク リスタリンドメイン)を持ち、分子シャペロンとして機能することが報告されている。sHSPは植物における主要なHSPであり、細胞質、葉緑体、ミ トコンドリア、ERに、それぞれ異なる分子種が局在することが知られている。
 我々はシロイヌナズナから、αクリスタリンドメインを持ち、さらにペルオキシソーム輸送シグナル(PTS)を有する2種類のsHSP様タンパク質を発見した。ペルオキシソームに局在するsHSPはこれまで報告例が無く、その機能は全く未知である。このうちの一つであるAtMP27は、N末端側にPTSを有し、緑葉ペルオキシソームに局在する膜タンパク質であった。しかしその遺伝子発現は熱ショックではなく、光によって誘導されるという特徴を示した(2000年度本大会報告)。本研究では、もう一つのsHSP様タンパク質であるAtHSP15.7に注目した。AtHSP15.7はC末端にPTS配列を持ち、熱ショックによって遺伝子発現が誘導される。現在、 AtHSP15.7の細胞内局在性及び遺伝子発現について検討中である。
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© 2003 日本植物生理学会
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