日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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プロテオーム解析により同定された新規グリオキシソーム局在型kinaseの解析
*深尾 陽一朗林 誠西村 幹夫
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p. 324

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抄録
脂肪性種子植物のペルオキシソームは、その成長過程において可逆的に機能転換することが知られているオルガネラである。暗所で生育させた黄化子葉にはグリオキシソームが存在し、光を受けて緑化した子葉では緑葉ペルオキシソームへと機能転換する。前回本大会において、シロイヌナズナ子葉より緑葉ペルオキシソームを高純度に精製する系を確立し、MALDI/TOF-MSを用いたプロテオーム解析による緑葉ペルオキシソームタンパク質の網羅的解析について報告した。
今回は、5日間暗所で生育したシロイヌナズナ黄化子葉よりグリオキシソームを単離し、プロテオーム解析を行った結果について報告する。本解析では、既知のグリオキシソームタンパク質に加え、kinase proteinを含めた新規タンパク質の同定に成功した。オルガネラを用いたプロテオーム解析において、新規に同定されたタンパク質が実際にそのオルガネラに局在することを確認することは、調整したオルガネラの純度を検定する上でも重要である。そこで我々はこのkinase proteinをperoxisomal protein kinase 1 (PPK1)と名付け、その詳細な解析を行った。PPK1 cDNAをRT-PCRによりクローニングし、発現産物の特異抗体を作製した。この特異抗体を用いた局在解析から、PPK1がグリオキシソームに局在すること、さらにグリオキシソーム内膜に局在し、予想されるkinase領域はグリオキシソーム内に存在していることが明らかとなった。
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© 2003 日本植物生理学会
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