日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ペルオキシソーム機能欠損が発芽初期の遺伝子発現に及ぼす影響
*林 誠西村 幹夫
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p. 326

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抄録
 ペルオキシソームは、脂肪酸β酸化、グリオキシル酸回路およびグリコール酸代謝などの代謝系を持ち、脂肪酸分解や光呼吸などの生理機能を担っている。我々は、ペルオキシソームの脂肪酸β酸化能を欠損する突然変異体の単離に成功した。そのうちped1ped2ped3の3系統の突然変異体については原因遺伝子の同定を完了している。PED1およびPED3遺伝子は、脂肪酸β酸化に関わる3-ketoacyl CoA thiolaseおよびペルオキシソーム膜ABCトランスポーターを、PED2遺伝子はペルオキシソームタンパク質の細胞内輸送を担うAtPex14pをコードしていることから、上記突然変異体は脂肪酸β酸化が異なる段階で停止していると考えられる。
 ペルオキシソームによる種子貯蔵脂肪の分解は、発芽過程における重要なプロセスであり、脂肪酸β酸化の欠損は発芽初期の遺伝子発現に何らかの影響を及ぼすと考えられる。我々は、発芽初期の遺伝子発現調節機構の解明をめざしてこれら3つの突然変異体における遺伝子発現を比較検討している。DNAマイクロアレイを用いた網羅的解析の結果、それぞれの突然変異体は異なる遺伝子発現パターンを示すことが明かとなった。この結果をもとに、発芽初期過程における遺伝子発現の調節機構について考察する。
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© 2003 日本植物生理学会
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