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植物ホルモンの1つであるジャスモン酸(JA)は、プロスタグランジンと類似した五員環構造を持ち、傷害応答・病害応答・葯の開裂などに関与することが知られている。JAはリポキシゲナーゼ経路によって合成されるが、この生合成経路においてJAの前駆体である12-オキソ-フィトジエン酸(OPDA)がJAとは異なる生理現象に関与することが示唆されている。しかし植物におけるOPDAなど他のJA類の機能についてはよく分かっていない。そこで我々はOPDAなどこれまで機能が不明なJA類に応答する遺伝子群を解析することで植物におけるこれらのシグナルの機能を解明することを目的として研究を行っている。今回はcDNAマクロアレイを用いてOPDA特異的な遺伝子発現の網羅的な解析を行った。シロイヌナズナにそれぞれ30μMのJAおよびOPDAを処理し、total RNAを抽出した。これを用いてcDNAマクロアレイを行い約9000個の遺伝子の発現応答を調べた。その結果、JAあるいはOPDA処理後6時間の間にいずれかの処理で誘導される遺伝子群が得られたが、その多くは重複していた。しかし、一方でOPDAに特異的に応答する遺伝子,5'-adenylylsulfate reductaseやJAに特異的に応答する機能未知の遺伝子が同定された。この結果はJA類がそれぞれ特異的な遺伝子発現に関わることを示唆している。