日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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トウモロコシ幼葉鞘の光屈性反応におけるβ-グルコシダーゼの役割
*山田 小須弥Riffat Jabeen長谷川 剛繁森 英幸長谷川 宏司
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p. 358

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抄録
演者らはこれまでにトウモロコシ(Zea mays L.)幼葉鞘の光屈性における光誘導性成長抑制物質の本体を解明すること、ならびにそれらの物質の光屈性に伴う動態を明らかにすることを目的として研究を進め、青色光照射側組織および影側組織とのHPLC-PDクロマトグラムの比較から、少なくとも2種類の光誘導性物質の存在を確認し、6-methoxy-2-benzoxazolinone (MBOA)、2,4-dihydroxy-7-methoxy-l,4-benzoxazin-3-one (DIMBOA)であることを1H NMRなどのスペクトル解析から明らかにしてきた。さらにそれらの物質のカイネティクスも調べ、トウモロコシ幼葉鞘の光屈性に伴い、光側組織に存在するDIMBOA-glucoside(不活性型)が減少し、2,4-dihydroxy-7-methoxy-l,4-benzoxazin-3-one (DIMBOA、活性型)が増加し、さらに6-methoxy-2-benzoxazolinone (MBOA、活性型)が生成されることを明らかにした。これらの結果からトウモロコシ幼葉鞘の光屈性では光屈性刺激がDIMBOA-glucosideからDIMBOAへの変換を誘導している可能性が示峻された。このDIMBOA-glucosideからDIMBOAへの変換を触媒すると考えられるβ-グルコシダーゼ(β-glucosidase)の光屈性刺激に伴う活性の変化を調べたところ、片側からの光照射によってすみやかに活性が増大することが確認できた。本大会ではトウモロコシ幼葉鞘に存在するβ-グルコシダーゼの光屈性刺激に応答した活性発現について報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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