日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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植物中のプロゲステロンおよびその結合性タンパク質について
*飯野 真由美田牧 祐治野村 崇人米山 弘一竹内 安智横田 孝雄
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p. 361

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抄録
 プロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれ妊娠維持や受精卵の着床などの生理作用を示す動物ステロイドホルモンである。我々はGC-MSを用いてアラビドプシス、イネ、トマト、エンドウおよびリンゴの様々な器官からプロゲステロンを同定した。これらのうちエンドウ茎葉におけるプロゲステロン含量が最も高く約7.5μg/kg新鮮重であり、次いでイネ茎葉では1.5μg/kg新鮮重であった。このことからプロゲステロンは植物における普遍的な成分であり、植物体中のプロゲステロン含量は植物ホルモンと同様なレベルにあることがわかった。
 さらに、我々はヒトのプロゲステロン結合タンパク質遺伝子に類似する3つのイネ遺伝子(OsPB1, OsPB2, OsPB3)を単離し、これらが推定プロゲステロン結合領域をもつことを明らかにした。さらにOsPB1と OsPB2はN末端側に膜貫通領域をもつ膜結合性タンパク質であり、OsPB3は膜貫通領域をもたない可溶性タンパク質であることが推測された。また、OsPB2OsPB3はイネの葉身・葉鞘・穂で高く発現していることをノーザン解析により確認した。このことから、プロゲステロンならびにOsPB遺伝子はイネの生長に何らかの生理的役割をもっていることが示唆される。現在、アラビドプシスにおける同遺伝子の単離およびその発現解析を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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