日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アラビドプシスPSK前駆体遺伝子の解析
*木原 ひとみ松林 嘉克坂神 洋次
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p. 362

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抄録
PSKは植物細胞の培養液中に発見された分泌型ペプチドであり,特異的受容体を介して細胞の増殖や分化を制御することがin vitroの系において示されている.現在,リガンドと受容体の両面から,PSKの植物組織における本質的機能の解明を進めているが,アラビドプシスにおいては,PSK前駆体遺伝子は最大5種類存在しており,このことがリガンド側からの解析を複雑にしている.今回我々は,解析の第一段階として,それぞれのPSK前駆体遺伝子についてpromoter::GUS法を用いて発現パターンの解析を行なったので報告する.アラビドプシス植物体のGUS染色の結果,共通に見られる特徴として,主として地上部では維管束系に,根では中心柱に染色が観察された.これらの組織においてPSKが何らかの機能を担っていることが示唆される.一方,リーフディスクを用いて,固体培地上での脱分化・カルス誘導過程における経時変化を解析したところ,オーキシン・サイトカイニンの有無に関わらず12 hでリーフディスクの周縁部に発現が確認され,ホルモン存在下では発現のみられた部分から順次カルス化が観察された.このことは,組織レベルでのPSKの機能のひとつが傷害応答としての細胞の脱分化および組織の再構築であることを示唆する.
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© 2003 日本植物生理学会
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