抄録
Orobanche は東アフリカなどに分布し、農作物に寄生し莫大な被害を及ぼしている。本研究ではヤセウツボ(Orobanche minor)の宿主植物であるトマトの根が生産する発芽誘導物質の同定を目的とする。トマトの水耕培養液に含まれるヤセウツボ発芽誘導物質は酢酸エチル中性区に抽出された。これを、セファデックス LH-20 クロマトグラフィー、ついでODS-HPLCで精製すると2つの活性分画Ly1とLy2 が得られた。Ly1は幅広く溶出され、さらにPhenyl-HPLCを行うと新規物質と思われる3つのピークLy1-a, Ly1-b, Ly1-cが得られた。一方、Ly2をPhenyl-HPLCで精製すると2つの活性分画Ly2-aとLy2-b が得られた。Ly2-b は幅広く溶出されたので、3つ以上の成分を含むと考えられる。
活性の最も高かった分画Ly2-bをGC/MS分析した結果、既知発芽誘導物質であるストリゴール(分子量:346)より二重結合が二つ多い分子量342の化合物A、二重結合が1つ多い分子量344の化合物B, C, D の存在を確認した。以上の結果からトマトは少なくとも7種類以上の発芽誘導物質を生産することがわかった。