日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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エンドウの頂芽優勢に関わる側芽成長阻害物質の構造とその作用機序
*繁森 英幸中島 江理小林 美由起山田 小須弥長谷川 宏司
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p. 363

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抄録
植物において頂芽の存在が側芽の分化・成長を抑制する頂芽優勢(apical dominance)は、一般的には頂芽から供給されるオーキシンと根から供給されるサイトカイニンのバランスによって制御されていると考えられている。これまで、オーキシン極性移動阻害剤によって頂芽優勢が解除されることが報告されている。最近演者らはこれらの阻害物質に加えて天然由来のraphanusanin B 及び 6-methoxy-2-benzoxazolinone (MBOA)を用いて、頂芽、節間、側芽にこれらの化合物を投与した結果、投与部位に関わらず頂芽優勢が解除されることを見い出した。したがって、側芽の成長抑制は側芽成長阻害物質により制御されている可能性が示唆された。そこで、演者らはエンドウ由来の側芽成長阻害物質の探索を目的として、頂芽を有するexplant、頂芽を切除したexplant及び頂芽切除面にIAAを投与したexplantから極性移動してきた物質をHPLCを用いて分離した結果、側芽成長阻害物質としてインドール-3-アルデヒドを単離することに成功した。本化合物は、頂芽を有するexplant及び頂芽切除面にIAAを投与したexplantからの浸出物に高濃度で含まれ、また頂芽切除面への投与、側芽への直接投与に関わらず側芽の成長を阻害したことから、エンドウの頂芽優勢に深く関わっているものと考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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