日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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Anabaena PCC 7120の水素生産性増大に向けた遺伝子工学的改変とホモクエン酸合成酵素遺伝子破壊
*増川 一桜井 英博
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p. 367

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抄録
 ラン色細菌は、酸素発生型の光合成と平行してニトロゲナーゼの作用による窒素固定を行ない、その副産物として水素を持続的に生産できる。しかし、野性株の生産効率は低いため、水素生産性増大に向けた改良が必要である。われわれは、水素の再吸収活性を抑えるため、Anabaena PCC 7120から3種のヒドロゲナーゼ遺伝子破壊株ΔhupLΔhoxHΔhupL/ΔhoxHを作製し、そのうちのΔhupLは水素生産能力が野性株に比べて4-7倍増大することを明らかにした。ΔhupLの可視光から水素への最大エネルギー変換効率は、アルゴン気相下、励起光強度5-50 W/m2 (PAR)において約1.0-1.6%であったが、その最大活性は10時間程度しか持続しなかった。これは、窒素化合物の充足によってニトロゲナーゼ活性ならびに水素生産活性が低下したためだと考えられる。
 高い水素生産活性を長時間持続させるため、ニトロゲナーゼ活性に影響を与える改変に取り組んだ。ニトロゲナーゼのMoFe7S9活性中心クラスターには、ホモクエン酸が配位している。ホモクエン酸はNifVにより合成され、Klebsiella pneumoniae nifV変異株のニトロゲナーゼでは、分子状窒素還元活性は減少するが、プロトン還元活性は変化しないと報告されている。そこで、Anabaena PCC 7120の野性株とΔhupLからnifV遺伝子破壊株を作製したので、その水素生産活性について報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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