日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナにおける概日リズム制御因子の遺伝学的解析
lhy-12 enhancersの単離と解析
*溝口 剛田島 武臣藤原 すみれ鎌田 博George Coupland
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p. 38

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抄録

概日リズムは約24時間周期の生命活動の変動で、個体における時間生成機構としてバクテリアから植物、ヒトに至るまで生物界に普遍的に存在する制御機構である。高等植物では、花芽形成、胚軸伸長、遺伝子発現、葉の上下運動などが概日リズムによる制御を受けていることが知られている。シロイヌナズナを用いた遺伝学的解析により、概日リズム制御に関わる因子が複数単離されてきた。少なくとも4つの遺伝子、LHY、CCA1、TOC1、GIが、概日リズム制御と光周性依存型の花芽形成過程に深く関わることが明らかにされてきた。我々は、LHYとCCA1を同時にノックアウトし、LHYとCCA1が1)概日リズム制御下にあるマーカー遺伝子の、恒明条件下での周期的な発現維持に必要であること、2)同じく概日リズム制御下にある葉の上下運動の、恒明条件下での周期的な発現維持に必要であること、3)光周性依存型の花芽形成制御系で重要な機能を有することを明らかにしてきた。今回我々は、シロイヌナズナの概日リズム制御に関わる新たな因子の単離同定を目指し、lhy単独機能欠損株の形質を増強させる変異体をスクリーニングした。変異体候補の一つ、70elf-1lhy-12lhy-12 cca1-1と極めて類似した形質を持つが、遺伝学的な解析から、70ELF-1とCCA1は異なる遺伝子であることが予想された。現在までに得られた知見をもとに、概日リズム制御系と光周性依存型の花芽形成の関係について議論する。

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© 2003 日本植物生理学会
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