抄録
目的とする遺伝子の発現を転写後に抑制する手法にはアンチセンス法、センス(コサプレッション)法、二本鎖RNAを転写させるRNAi法がある。花色の変化を指標にこれらの有用性を比較した。シアニジンを蓄積しているペチュニア(花色:赤)において、フラボノイド3’-水酸化酵素遺伝子(F3’H)の発現を抑制し、バラのジヒドロフラボノール4-還元酵素遺伝子を発現させるとペラルゴニジンが蓄積し、花色はオレンジになる。F3’Hの抑制にアンチセンス法、RNAi法を用いた場合、それぞれ27%、77%の組換え系統で表現型の変化が見られた。系統によってT-DNAのコピー数にはばらつきがあったが、形質が安定しているのはコピー数が1または2コピーの系統であった。またトレニア(花色:青)において、アントシアニジンシンターゼ遺伝子の発現を上記3種類の方法で抑制したところ、RNAi法では50%の系統で花色が白く変化したが、アンチセンス法、センス法で花色が白くなった系統は1%であった。以上により、RNAi法はアンチセンス法、センス法より効果的に遺伝子発現を抑制できることが明らかとなった。(本研究の一部はNEDOの委託により実施した。)