日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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シロイヌナズナの乾燥・塩ストレス応答性転写因子AREB1の機能解析
*藤田 泰成藤田 美紀関 原明篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 392

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抄録
 乾燥あるいは塩ストレスから遺伝子発現にいたるシグナル伝達機構を明らかにするために、シロイヌナズナの塩・乾燥応答性遺伝子rd29B遺伝子の転写調節機構について研究を行っている。塩・乾燥ストレス応答におけるrd29B遺伝子の発現は、主としてアブシジン酸(ABA)を介して制御されている。現在までにわれわれのグループは、i) rd29B遺伝子では、2つのABRE配列がABAによる遺伝子発現誘導のシス因子として働いていること、ii) ABRE配列を介してbZIP型タンパク質であるAREB1とAREB2が転写因子として関与していることを示してきた。本研究では、AREB1の転写活性化に関与する領域の同定を行うために、カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターにさまざまなAREB1の部分配列をつないだエフェクタープラスミド、およびABRE配列によって制御されるGUS遺伝子をもったレポータープラスミドを供試し、シロイヌナズナのT87培養細胞由来のプロトプラストを用いて一過的発現実験を行った。その結果、AREB1のN末端保存領域がレポーター遺伝子の転写活性化に関与していることが明らかになった。さらに、AREB1を過剰発現する形質転換体の遺伝子発現解析の結果とをあわせて、rd29B遺伝子の発現には、ABA誘導性の翻訳後修飾を介したAREB1のコンフォーメーション変化が必須であることを示唆するデータを得た。
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© 2003 日本植物生理学会
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