日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

bZIP型転写因子AREBのABAに依存したリン酸化と転写活性化
*降旗 敬藤田 泰成宇野 雄一安部 洋篠崎 一雄篠崎 和子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 393

詳細
抄録
シロイヌナズナrd29B遺伝子の乾燥応答による発現は蛯描BAを介して制御されている。我々はrd29B遺伝子のプロモーター領域に存在する2個のABREがABA依存性のシス因子であり、これにbZIP型転写因子であるAREB1, AREB2が特異的に結合して下流の遺伝子発現を制御していることを明らかにしてきた。
AREB遺伝子は乾燥やABA処理などによって転写量が増大するが、ストレスのないコントロール状態においても発現が見られること、AREBの発現だけでは転写活性化が十分ではないことなどから、AREBがリン酸化などの修飾によって活性化すると考えられた。そこで、AREBタンパク質断片を基質として活性ゲル内リン酸化実験を行ったところ、T87培養細胞抽出液中にAREBの保存領域を含む断片をABA依存的にリン酸化する42kDaのキナーゼ活性が検出された。AREBの保存領域にはいくつかのタンパク質キナーゼのターゲットとなる配列が保存されているが、このうちCDPKのターゲットとなるSerあるいはThr残基をAla残基に置換したところ、リン酸化バンドが検出されなくなった。また、同じ置換によってtransativation実験におけるABA依存性の転写活性化も抑制された。一方、同じ場所をAsp残基に置換すると転写活性はABA非依存的に高くなった。この結果は、転写因子AREBの転写活性化がABA依存性のタンパク質キナーゼによるリン酸化で制御されていることを示している。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top