抄録
EIN2は、エチレン情報伝達経路で重要な役割を担っていると考えられている植物特有の蛋白質で、その分子機能はまだ明らかになっていない。EIN2はN末端領域に膜十二回貫通ドメインを持ち、金属イオンのトランスポーターであるNrampと相同性があるが、EIN2におけるこの構造の機能は不明である。一方、C末端領域を過剰発現させた植物体は恒常的エチレン応答性を示すことが報告され、情報伝達経路において重要な働きを担っていると示唆されているが、この領域の機能も明らかとなっていない。また、既存のein2変異体のほとんどはヌルタイプの突然変異であり、機能ドメインの特定には至っていない。
そこで本研究では、EIN2の機能を解明する第一歩として、EIN2の機能ドメインの探索を試みた。この目的のために、EIN2cDNAに終止コドンの入らない15bpをランダムに挿入し、突然変異遺伝子を作製した。これらをein2-5変異株に導入し、ein2変異を相補できるかを調べることで、機能ドメインを明らかにできると考えた。現在、作製した変異遺伝子を導入した形質転換体を得ており、これらのエチレン応答の調査結果について報告する予定である。