日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネSAPKプロテインキナーゼファミリーの発現と機能
*小林 裕子山本 周平南 秀幸村田 道春服部 束穂
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p. 400

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抄録
我々は、イネのSnRK2プロテインキナーゼファミリーに分類されるキナーゼの機能解析を進めている。SnRK2ファミリーには、アブシジン酸 (ABA) による発現誘導をうけ、アリューロン層での GA 誘導遺伝子の ABA による発現抑制との関連が示唆されているコムギPKABA1や、孔辺細胞特異的でABAによる活性化を受けるソラマメAAPKなどが含まれる。イネゲノム上には同じサブファミリーに分類されるプロテインキナーゼをコードする遺伝子が少なくとも10個存在する。このうち、コムギPKABA1と最も高い相同性を示す2つの遺伝子についてノーザン解析を行ったところ、ともに高塩、乾燥およびABA処理によって発現誘導されることから、これらのファミリーをSAPK ( Stress and/or ABA regulated Protein Kinase ) と名付けた。今回は、SAPKファミリーメンバー10個 (SAPK1~10)すべてについての活性化制御を解析したので報告する。
SAPK1~10をそれぞれイネ培養細胞Oc株プロトプラスト内で一過的に過剰発現させたところ、すべてのプロテインキナーゼが高浸透圧処理によって速やかに活性化され、さらに、SAPK8, 9, 10についてはABAによる活性化も認められた。以上の結果から SAPKファミリーのプロテインキナーゼはABAおよび高浸透圧ストレスシグナリングカスケードの両方において機能していることが示唆された。
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© 2003 日本植物生理学会
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