日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ファンクショナルゲノミクスの新技法Fox Hunting System:次世代型アクチベーションタギング法
*市川 尚斉中澤 美紀川島 美香関 原明藤田 美紀篠崎 一雄松井 南
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p. 417

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抄録
優性突然変異を引き起こすアクチベーションタギングは、遺伝子ファミリーを形成する遺伝子群の機能解析など、遺伝子破壊型の突然変異では表現型が現れない遺伝子群の機能解析に欠かせないテクニックである。本研究では次世代型アクチベーションタギング法を構築するため新たに以下の2点の特徴を導入した新システムを作ることにした。1、1つのタグ(T-DNA)の導入に対して必ず1遺伝子が候補遺伝子として対応する。2、シロイヌナズナ以外の有用生物の遺伝子機能解析にも利用できる。この目的のもと、約1万種の独立シロイヌナズナ完全長cDNAからなる標準化cDNAライブラリーをアグロバクテリアのバイナリーベクター上で作成した後、アグロバクテリアに形質転換した。このバクテリアライブラリーをシロイヌナズナに花感染させ、約800ラインの独立した形質転換植物を作成した。形態形成や色素合成などの表現型が観察されたT1植物約80ラインのうち、約40ラインのT-DNAをPCR法をもちいて解析したところ、プロモータの下流に接続されているのはすべて別々の完全長cDNAであることが確認できた。我々はこのような完全長cDNAを用いた新たな遺伝子機能解析法をFox Hunting System(full-length cDNA over-expressor gene hunting system)と呼び、この手法をシロイヌナズナの遺伝子のみならず有用生物遺伝子のファンクショナルゲノミクスのための新技術として確立させるための整備を行っている。
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© 2003 日本植物生理学会
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