日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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維管束分化に関連した細胞外分泌性分子に対するモノクローナル抗体の網羅的解析
*藤田 美樹篠原 直貴福田 裕穂
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p. 581

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抄録
維管束組織は複数種の細胞群から成り、その秩序立った発生過程ではシグナル分子を介した細胞間相互作用が重要な役割を担っている。維管束形成時の細胞間相互作用を担う分子を認識するモノクローナル抗体を得る為に、ヒャクニチソウ管状要素分化系を用いて、分化誘導培地成分に対するモノクローナル抗体を作成した。抗体の作成にはファージディスプレイ抗体法を用い、5.1 × 10 7 個の独立した形質転換体を含むファージ抗体ライブラリーを作成した。このライブラリーから、管状要素分化に伴って出現する分子に特異的に結合するファージ抗体を得る為に、分化を誘導しない対象培地成分で差し引きするスクリーニングを行った。また、スクリーニングの過程で抗原と結合性を持ったクローンにも関わらず抗体提示率の低いクローンが選抜される可能性を考え、抗体提示率の高いクローンを選抜した。そのうちの 93 クローンについて組織特異性を見る為に組織免疫染色を行ったところ、全てのクローンがアポプラストを認識した。局在パターンはクローンによって異なり、維管束組織特異的にシグナルが見られるもの、維管束組織と葉肉細胞にシグナルが見られるもの、全体的にシグナルが見られるものがあった。このことから、このスクリーニングにより維管束での細胞外分泌性分子を網羅的に単離できることが分かると同時に、ある種の細胞外分泌性分子が組織特異性を持って分布していることが示された。
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© 2003 日本植物生理学会
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