抄録
シロイヌナズナのtonsoku(tsk)突然変異株では、茎頂と根端の両メリステムの構造に異常が見られる。tsk変異株のメリステムではメリステム特異的に発現する種々の遺伝子の発現パターンに変化が見られ、異常な方向に分裂した細胞が観察されることから、tsk変異株では異常な方向への細胞分裂によって、メリステム構築に異常が起こっていると推定される。TSKタンパク質はタンパク質間相互作用に関わると考えられるLGNリピートとロイシンリッチリピートを持つ1311アミノ酸よりなる大きなタンパク質であり、タンパク質複合体のコアとして働いていると推定されるが、その細胞内機能は不明である。
今回我々は、TSKのGFPとの融合タンパク質を35Sプロモーターにつないだコンストラクトを作成した。これをアグロバクテリウムを介してタバコBY-2細胞に導入、発現させ、その細胞内局在性を解析した。その結果、GFPをTSKのN末、C末いずれにつないだ場合も核の核小体以外の領域に局在していることが分かった。またこの結果を検証するために細胞を分画し、TSKに対する抗体でウェスタンブロットを行った。この実験の結果は融合タンパク質の核局在を強く支持するものであった。TSKは細胞分裂における役割が示唆されていることから、細胞周期の各ステージにおけるGFP融合TSKタンパク質の局在性についても検討している。