日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

細胞質型モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ活性に関与するCys残基の決定
*森下 宜彦田尾 悟佐野 智齊藤 和實
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 445

詳細
抄録
 アスコルビン酸(AsA)は植物細胞内で重要な抗酸化剤として働くが、このとき一電子酸化物モノデヒドロアスコルビン酸(MDA)ラジカルが生成する。細胞内の抗酸化活性を維持するためにはAsAを再生する必要があり、MDAレダクターゼ(MDAR)はこの反応を触媒する。MDARはFADを含み、NAD(P)Hを電子供与体としてピンポン機構によりMDAを還元する。その機構の第一段階はNAD(P)HによるFADの還元で、この反応はSH修飾試薬によって阻害される。細胞質型MDARには保存された2個のCys残基が存在するがどちらが反応に関与しているのかは明らかではない。そこで、キュウリ細胞質型MDARを材料とし、部位特異的突然変異法を用いてCys残基の役割を調べた。変異酵素としては2個のCys残基(Cys69、Cys198)をそれぞれAla、Serとした計4種(C69A、C69S、C198AおよびC198S)を作成した。その結果、Cys69に変異の入ったC69S、C69Aでそれぞれ32%、56%まで活性が低下した。特にC69SはFADとの結合力が弱く、非変異体では安定な条件下でも急速に解離した。しかし、NAD(P)Hに対するKm値はCys69、Cys198変異酵素とも非変異体との違いはみられなかった。現在酵素中のFADとNADHの迅速反応を解析中である。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top