日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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タバコのホスホリパーゼA2のcDNAクローニングと遺伝子発現
*藤川 律子藤川 愉吉飯島 憲章江坂 宗春
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p. 446

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抄録
ホスホリパーゼA2(PLA2)はグリセロリン脂質の2位のアシル鎖を加水分解し、遊離脂肪酸とリゾリン脂質を産生する酵素である。動物のPLA2はアラキドン酸カスケードの初発酵素であると同時に、食餌性リン脂質の消化や膜リン脂質の代謝回転、再構築など生体内で多様な役割を担っている。分泌型PLA2(sPLA2)は多様な分子種の存在や、様々な組織に発現していることが確認され、レセプターを介した生理応答に関与することも明らかになっている。近年、植物でもsPLA2の精製やcDNAクローニングが報告されているが、その生理機能は明らかになっていない。そこで、植物のsPLA2の生理機能を明らかにするために、タバコsPLA2のcDNAクローニングを行った。タバコの花から全RNAを抽出してRT-PCRを行った。プライマーは植物sPLA2で保存されている配列をもとに設計した。その結果、2種の遺伝子増幅産物が得られた。この増幅断片の塩基配列を決定したところ、sPLA2と高い相同性が認められた。これらの塩基配列に基づいて5'-RACEおよび3'-RACEを行い、2種のタバコsPLA2 cDNAの全塩基配列を決定した。2種のタバコsPLA2のcDNAは、それぞれ145、159のアミノ酸をコードしていた。またN末端側にはシグナルペプチドの存在も示唆された。現在、タバコsPLA2の遺伝子発現などについても検討している。
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© 2003 日本植物生理学会
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