日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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鉄道虫ルシフェラーゼを用いた2波長測定系による概日遺伝子発現の解析
*北山 陽子小山 時隆中平 洋一Vadim Viviani近江谷 克裕近藤 孝男
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p. 45

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抄録
概日リズムと呼ばれている約24時間周期で変動する生理活性は様々な生物で観察されている。シアノバクテリアは概日時計をもつ最も単純な生物であり、ほぼ全ての遺伝子発現が概日リズムをもつことが知られている。今回、私達は一つの細胞で2種類のプロモーター活性を同時に測定できる2波長測定系の作製を試みた。すでに鉄道虫から630nmをピークとする赤色の光と540nmをピークとする緑色の光を出す2種類のルシフェラーゼがクローニングされている。それぞれのルシフェラーゼのピーク付近の光を通す干渉フィルターを用いることで、この2種類のルシフェラーゼの発光は分離できるはずである。
そこで、シアノバクテリアの時計遺伝子kaiBCのプロモーターの下流に赤色ルシフェラーゼを、大腸菌由来のtrcのプロモーターの下流に緑色ルシフェラーゼをつないでシアノバクテリアに導入し、干渉フィルターを通し生物発光を連続的に測定した。その結果、干渉フィルターによって実際に二つの波長の光を分別して測定することができた。更にどちらのルシフェラーゼをつないだ場合も、今まで私達が概日遺伝子発現のモニターにもちいてきた発光細菌のルシフェラーゼ同様に約24時間周期の振動が検出できた。これらのことから、鉄道虫のルシフェラーゼを用いることにより、同一細胞における2種類の遺伝子発現を連続的に測定できることがわかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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