日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナのクロロフィラーゼを中心としたクロロフィル分解酵素遺伝子群の発現解析
*福田 隆志土屋 徹増田 建島田 裕士太田 啓之高宮 建一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 450

詳細
抄録
クロロフィルの分解は通常の代謝回転に加え、紅葉や葉の老化、果実の登熟、花の分化など植物が緑色を消失する現象に関与し、植物の生活環の中で厳密に制御されている重要な代謝系の一つであると考えられる。現在、シロイヌナズナのクロロフィル分解酵素遺伝子は経路の初反応を触媒する2つのアイソザイム遺伝子、クロロフィラーゼ1 (CLH1)、クロロフィラーゼ2 (CLH2)、その下流のRCC還元酵素遺伝子(RCCR)が単離されている。本研究では、植物の生活環におけるクロロフィル分解の意義について知見を得るため、シロイヌナズナを材料として、代謝経路の関連酵素遺伝子の一つであるCLH1を中心として老化・分化の際の発現解析を行った。
老化を制御すると思われる植物処理条件下で時系列を追って発現を解析した。老化を促進すると考えられるメチルジャスモン酸処理では処理後数時間で顕著なmRNAの蓄積を示した。また逆に老化を抑制すると考えられるジベレリンやサイトカイニン処理では発現に変化は見られなかった。
次にクロロフィル分解酵素の植物体の局在性を調べるために、酵素遺伝子のプロモーター領域とレポーター遺伝子であるβ-glucuronidase (GUS)の融合遺伝子を組み込んだ形質転換体の作出を行った。得られた形質転換体の組織をGUS染色した結果、葉や花のがく、鞘などのクロロフィルの存在する緑色組織でCLH1が恒常的に発現していることが明らかになった。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top