日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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野生スイカにおける新規適合溶質シトルリンの生合成系酵素Glutamate acetyltransferaseの同定
*高原 健太郎明石 欣也横田 明穂
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p. 451

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抄録
 優れた乾燥耐性を示す野生スイカの葉組織では、乾燥ストレス伴い0.3 Mにも達するシトルリンが蓄積される。このシトルリンは活性酸素消去能に優れた新規の適合溶質であり、酸化ストレスの緩和に貢献すると考えられる。しかし、植物でのシトルリン生合成系の知見はほとんどなく、その蓄積機構は全く解明されていない。
 そこで、シトルリンの蓄積機構を解明するために、初発段階と第5段階を同時触媒する酵素glutamate acetyltransferase(GAT)に注目し、機能解析を行った。
 まず、野生スイカからGAT活性を有する酵素を精製した。精製酵素はSDS-PAGEで約28 kDaの2本のバンドから構成されていた。それぞれのポリペプチドのN末端アミノ酸配列は、シロイヌナズナの GATホモログの37から49番目のアミノ酸、249から283番目のアミノ酸とそれぞれ相同性を示した。酵母や枯草菌のGATは、前駆タンパク質の中央部を自己触媒によって切断し、生成したヘテロ4量体が機能を持つと報告されている。また、シロイヌナズナのGATホモログには、N末端36残基の葉緑体移行シグナルの存在することが示唆されている。このことから、野生スイカのGAT酵素前駆体は、葉緑体に移行し、自己触媒的に切断されることで、ヘテロ多量体を形成すると想定している。現在、詳細な酵素学的性質を解析しており、その結果も合わせて報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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