日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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トマトER-sHSPのクローニングとin vitroでの機能解析
Tarlan MamedovJian Liu*庄野 真理子
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p. 461

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抄録
高等植物が高温による生理傷害克服のため行うストレス応答反応の一つに大量のスモールヒートショックプロテイン(sHSP)の発現が認められる。我々はトマトからクローニングしたER型sHSP(ER-sHSP)の機能解析を行うことを目的とし、in vitroでの解析を試みた。
40℃で6 hr処理したトマト(Lycopersicon esculentum Mill cv. Xifen)花のcDNAライブラリーからER型sHSP (LeHSP21.4)をクローニングした。LeHSP21.4がコードするタンパク質は190アミノ酸、推定分子量は21.4 kDaで、シングルコピーであった。トマトの花を用いたER-sHSPの熱誘導性に関するノーザン解析の結果、32℃付近で温度ストレスによる誘導がかかった。
E. coli発現系でLeHSP21.4タンパクを大量に発現させて精製を行い、この組換え精製タンパクを用いてin vitroでのER-sHSPの機能を調べた。組換えER-sHSPは、他の酵素(LDH及びCS)の化学変性からの回復を助け、高温失活を抑制し、また失活した酵素を回復させる効果を持つことが明らかになった。組換えER-sHSP を加えたE. coli抽出物では、幾つかのタンパク質が高温下ても凝集されにくくなった。これらにより、ER-sHSPが細胞内において分子シャペロンとして機能していることが明らかとなった。
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© 2003 日本植物生理学会
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