抄録
光合成集光装置は反応中心の近傍にある中心集光装置とその外側にある周辺集光装置によって構成されている。中心集光装置を構成するタンパク質は常に一定の割合で存在しているが、周辺集光装置を構成するタンパク質は、光環境に応じて構成や割合を変えるとされる。しかし、個々のサブユニットがどのように光環境に応じて変動するのか、その詳細は明らかにされていない。
そこで、まず標準条件で培養したクラミドモナスから光化学系II(PSII)とその集光装置(LHCII)の複合体を精製し、各バンドのアミノ酸配列を決定した。そして、ESTライブラリの情報と併せ、7つのLHCIサブユニットと3つのLHCIIサブユニットを同定した。更に、異なる光条件下で周辺集光装置を調製し、これらのサブユニットの構成の違いを比較検討した。以上の結果を踏まえ、光合成集光装置の光環境適応について考察する。