日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

GFPを用いたクロロフィリドa オキシゲナーゼの葉緑体内における局在の解析
*山里 明弘永田 望田中 亮一田中 歩
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 470

詳細
抄録
クロロフィリド a オキシゲナーゼ(CAO)はクロロフィルbを合成する酵素であり、クロロフィルbの供給を介して集光装置(LHC)の構築を制御する。この制御は高等植物が様々な光条件に適応して光合成を行うために重要であり、そのLHCの構築機構を理解するためには、CAOの葉緑体中での局在や機能を解明することが必要である。
高等植物のCAOのアミノ酸配列を他の生物の配列と比較することで、葉緑体移行シグナル、高等植物間でのみ高い相同性があるAドメイン、相同性がないBドメイン、全CAOで高い相同性があるCドメイン、の四つの領域から構成されていることが分かった。本研究では、CAOの全長または各ドメインをgreen fluorescence protein (GFP)と融合し、それらを一過性の遺伝子発現系(エンドウ葉)、または形質転換株による恒常的な遺伝子発現系(シロイヌナズナ)を用いて発現させ、共焦点顕微鏡で局在を観察した。GFPを全長のCAOのC末端に融合すると葉緑体への輸送が正しく行われずに他の細胞内小器官に蓄積したが、葉緑体移行シグナルの下流に挿入すると葉緑体内での局在が観察された。また、CAOの各ドメインをGFPに融合して局在を比較すると、Cドメインが葉緑体内での局在において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。さらに各ドメインの酵素的役割についても報告する予定である。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top