日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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トウモロコシ光合成における酸素濃度の影響
*大脇 友裕浅田 浩二
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p. 474

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抄録
 昨年度の年会において、C4植物のトウモロコシで光合成誘導期にO2がないとCO2固定は進行しないが、1%O2によってCO2固定が開始すること、しかし一旦光合成が進行するとO2がなくてもCO2固定は進行することを報告した。O2がCO2固定の開始に必要な原因を明らかにするため、さらに解析を進めた。
 暗適応させた葉を光照射したとき定常状態でのCO2固定速度と蒸散速度は、2%O2では21%O2の80%であり、PS2の電子伝津速度(ΦPS2)は70%,PS1の電子伝達速度(ΦPS1)は等しかった。2%以下のO2濃度では、これらのパラメーターはさらに低下し、O%O2では21%O2と比べCO2固定速度は15%,ΦPS1は40%,蒸散速度は0に近かった。ΦPS2は光合成誘導初期には21%O2と同じであったが、その後は大きく低下した。これらの結果は、O2がwater-waterサイクルを起動するために必要であり、これによりCO2固定サイクルや孔辺細胞での気孔の開口に必要なATPを供給していることを示唆している。なお、C3植物ではC4植物ほど顕著なO2の影響は認められなかった。
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© 2003 日本植物生理学会
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