抄録
連続白色光下で栽培したシロイヌナズナ(Columbia)の花茎回旋運動は、暗条件移動12時間後以降大きく変化する。同条件下で栽培したシロイヌナズナを暗所の他、赤色光および青色光条件等に移し、その後の花茎回旋運動パターンをタイムラプスモニタリングにより解析した。白色光下と比較して、暗条件、赤色光および青色光条件下でそれぞれ屈曲角度推移、回旋運動速度および花茎伸長に違いが観察された。第一に白色光を含めた各光条件下において、花茎回旋速度と花茎屈曲角度変化には光強度が大きく影響していた。また同光強度の青色光下では、赤色光下と比較して花茎の回旋速度低下および花茎屈曲の増大に差が認められた。各光条件下で花茎回旋速度と花茎伸長に大きな違いが認められた。これまで植物の回旋運動は外部の刺激により起こる運動ではなく、内的な要因によって起こる自発的周期成長運動であると定義されていた。しかしながら、以上の結果から外部の光環境変化がシロイヌナズナ花茎の回旋運動に大きく影響することが明らかになった。