日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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鉄栄養応答の異なる3種のトウモロコシニコチアナミン合成酵素遺伝子
*水野 大地樋口 恭子坂本 達也中西 啓仁森 敏西澤 直子
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p. 494

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抄録
ニコチアナミン合成酵素(NAS)によって合成されるニコチアナミンは全ての高等植物に必須である。我々はトウモロコシから3つのnas遺伝子(zmnas)を単離し、解析した。興味深いことにZmNAS2タンパク質は部分的に重複したNAS配列を持っていた。zmnas1zmnas2は根においてのみ発現しており、その発現は鉄欠乏によって誘導され、鉄の再添加によって抑制された。一方、zmnas3は恒常的に葉で発現しており、発現量は鉄欠乏によって減少し、鉄の再添加によって増加した。鉄欠乏によるnas遺伝子の地上部での発現抑制は初めての知見である。ウェスタンブロッティング解析により、ZmNAS1とZmNAS2は鉄欠乏状態のトウモロコシの根において主要なNASタンパク質であることが分かった。in vitroでのNAS活性測定を行ったところ、ZmNAS1とZmNAS3は活性を示したが、ZmNAS2は活性を示さなかった。タマネギの表皮細胞においてGFPとの融合タンパク質を発現させ,ZmNASタンパク質の細胞内局在を調べた。ZmNAS1-GFPとZmNAS2-GFPは細胞質中の小顆粒に局在していたが、ZmNAS3-GFPは細胞質内全体に存在していた。以上のZmNASの性質の違いは異なるNASによって合成されるニコチアナミンが,それぞれ異なる役割を担っていることを示唆するものである。
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© 2003 日本植物生理学会
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