日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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イネω-3デサチュラーゼ遺伝子のクローニングと機能解析
*屋良 朝紀八丈野 孝楠見 健介射場 厚
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p. 495

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抄録
 植物脂質を構成するトリエン脂肪酸は、環境ストレスに対する適応反応に重要な役割を果たしている。しかし、これらは主に双子葉植物での知見であり、単子葉植物でも共通して同様のメカニズムを持つかどうかは不明である。本研究においてはイネにおけるトリエン脂肪酸の役割を明らかにするため、トリエン脂肪酸の合成を触媒するω-3デサチュラーゼ遺伝子(FAD)のクローニングと機能解析を行った。イネにおいては、サザン解析の結果から、FADをコードする遺伝子が3つ存在することが示唆されている。イネのゲノムデータベースを検索したところ、シロイヌナズナのFAD遺伝子と相同性の高い3つの読み枠が見つかった。それぞれのゲノミックおよびcDNAクローンの全配列を決定し、一次構造を比較したところ、そのうちの1つは既知の小胞体局在型OsFAD3だった。残りの2つはシロイヌナズナAtFAD7に対し推定アミノ酸配列で73%、78%と高い相同性を示し、ともにN端にAtFAD7と相同性のあるシグナルペプチド領域を持っていた。また、この2つの遺伝子のmRNAは、根組織よりも葉組織で顕著に蓄積していることから、葉緑体局在型のFADをコードすると考えられた。これらのFAD遺伝子をOsFAD7-1OsFAD7-2と名付けた。現在RNAiの手法を用いてFADノックアウト株を作製しており、それらの解析結果もあわせて報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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