抄録
アブシジン酸(ABA)生合成系における9-シスエポキシカロテノイドジオキシゲナーゼ(NCED)を標的部位とする特異的生合成阻害剤の創製を目的として研究を行った。ABA生合成阻害剤の試験系にはホウレンソウの気孔開閉試験、ABA内生量測定とNCEDのin vitro 試験をあわせて用いた。また阻害剤によるRD29B::LUCシロイヌナズナ種子における発光阻害試験も併せて行い、最終的に新規阻害剤を見いだしアバミンと命名した。アバミンはNCEDの酵素活性を阻害していただけでなく、全ての生物試験系において内生ABAの作用を抑制する効果を示した。また実際にアバミン処理した植物のABA内生量も減少させていた。以上より、アバミンはABA生合成阻害剤であることを明らかにした。またアバミン処理したクレス中ではNCEDの基質を含むカロテノイドが蓄積されていること、シロイヌナズナ種子における高温処理による発芽阻害試験においても、アバミンの処理でもABA欠損変異体であるaba2-1とaba3-1と同等の発芽率を示すことを確認した。