日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
会議情報

アブシシン酸代謝物質の定量分析用内部標準物質
*平井 伸博近藤 悟大東 肇
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 519

詳細
抄録
目的:アブシシン酸(ABA)は、8'-hydroxy-ABAを経てより安定なphaseic acid(PA)に異性化した後、dihydrophaseic acid(DPA)とepi-DPAにまで代謝される。植物中のABA濃度は生合成とともにこの代謝によって調節されている。したがって、代謝物質の定量も重要である。定量分析用の内部標準物質として、ABAでは3',5',7'位重水素化体が利用されている。しかし、PAやDPAsの重水素化体は報告されていない。そこで、これらの重水素化体の調製を目的とした。
方法と結果:[3',3',5',5'-2H4]PAはジアゾメタン処理によって重水素が容易に脱落した。次に、8'-hydroxy-ABAとの平衡反応を利用してPAの7'位重水素化を試みた。PAをNaOD溶液で26日間処理後、短時間NaOH溶液処理により3',5'位重水素を除去し、[7',7',7'-2H3]PAを得た。この重水素はジアゾメタン処理やpH 3-8の水溶液中でもほとんど脱落しなかった。DPAsの7'位重水素化体は[7',7',7'-2H3]PAを還元することにより調製した。これらを内部標準物質として使うことにより、ABA代謝物質の正確な定量分析が可能となった。
著者関連情報
© 2003 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top