日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ラン色細菌Synechocystis sp.PCC6803の環状電子伝達系におけるYcf33の関与の可能性
*大篁 純子大塚 雅子小池 裕幸菓子野 康浩佐藤 和彦
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p. 520

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抄録
ycf33遺伝子は調べられた全ての葉緑体とラン藻に見出されている。さらに全ゲノム配列が決定されたA. thaliana の核にも存在していることが分かり、この遺伝子産物は全ての光合成生物の葉緑体に存在していると考えられる。Synechocystis 6803でこの遺伝子を欠失させた変異体は環状電子伝達系に影響が見られることを既に報告した。培養条件を変えたときの阻害剤の影響について報告する。
 環状電子伝達活性の指標となるDCMU存在下でのP700の再還元速度は野生株、突然変異体共大きな違いはなかったが、塩化水銀を加えると野生株、突然変異体ともに再還元速度にかなりの阻害が見られた。特に変異体のほうが低濃度でその効果が高かった。両者とも高濃度のCO2 (3%)で培養した細胞を空気を通気して24時間培養するとその効果は低くなり、最初から空気で培養したものでは塩化水銀の効果がほとんど無くなったが、この割合は変異体のほうが大きかった。このことから高濃度のCO2によって出現する、塩化水銀感受性の環状電子伝達経路が存在し、変異体ではこれが利用経路ではないかと考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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